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一般小説感想『鍵のない夢を見る』

<読了>
『鍵のない夢を見る』
著者:辻村深月
レーベル:文藝春秋

今月2冊目。
今回の直木賞を受賞した作品です。同一作者の小説では『名前探しの放課後』を読んでおります。







私自身、このタイプの一般小説をあまり読まないのでピンと来ないのですが、小説をあまり読まない人には些か辛い作品かと。反面、日頃より読書をする人にはとても面白い物語だと思います。

ほとんどの話が“曖昧なまま終わっている”(主にテーマ的な意味で)ので、これが何の話なのか、というのを読み取る必要があります。私にも、分かるものと分からないものがあり、少々もやもやした感じがあります。
ある意味、その辺こそが“鍵のない”夢なのかもしれませんが。
夢=願い・望み、という解釈で行くと、なるほどそういう意味のタイトルか、と納得できるかもしれません。

ただそれとは関係なく、読後感がなんというか……重い、というか。
少し重い気持ちになるかもしれません。

あとは短篇集ということなので、話ごとの感想を。



「仁志町の泥棒」
……まあこの話には限っていませんが、この話、人物の心情描写が凄くリアルです。
確かに子供ってこういう思考でしょうね。

にしても最初のバスのシーンがそのままフェードアウトしてしまったので、その辺の補完くらいはせめて欲しかったなぁ、と。


「石蕗南地区の放火」
人と会いたいから犯罪を犯す、という異常思考の人間については、色々なところで度々話題に出てきますが、それを上手く描いた作品だなぁ、と思います。

こういう男ってウザイよねー、と思う私は一体何なのか。


「美弥谷団地の逃亡者」
こういう男ってウザイよねー、と思う(略

他にもまして淡々と進む話です。
他にもまして訳の分からない話です。
ちょっと私には読み解くことができませんでした。

ただ、あまりにも“自然すぎる文章”にもう一度目を通すと、すごく綺麗で読みやすいな、と思いました。


「芹葉大学の夢と殺人」
個人的には1番好みの話です。
メチャクチャ後味の悪いバッドエンドでしたが、それゆえに美しいものがあると思います。
残酷な部分や、醜い部分が、上手く美しく描かれていると思います。

人物が誰も彼もアレなので、色々と苛立つ話ではありますが、これこそが人間なのだと私は思います。
恋は盲目、とか、欲深き人間、とか、そういうことを考えさせられる話です。


「君元家の誘拐」
読後感だけを言うならこの話が1番です。5話構成でこれを最後に持ってきたのは素晴らしき決定だと思います。

これまた“母親”の心情をすごくリアルに描いていて、物語にすごくのめり込むことができます。
最後の1行が怖く見えるのも、その辺からでしょう。




<総評>
内容よりも文章が素晴らしい物語だと思います。
初見ではすっと読め、2度めからは美しさを感じ取れる余裕ができます。読みやすさと綺麗さを重視したように垣間見える文章が、どれほど練りこまれたか想像してみるのも楽しいです。

反面、物語としては少々とっつきにくい部分はあると思います。
その辺も含めて、これは何度も読むことを前提としているような気すらします。
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[ 2012/08/06 22:03 ] ライトノベル・小説 | TB(0) | CM(0)

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