<あれ、今回はデータ転記しないの?>
→勘弁してください。
一応、基本的なことを書くなら、
・最初は神戸小鳥、鳳ちはや、此花ルチアルートのみプレイ可能。
この3人のシナリオをクリアすることで、千里朱音、中津静流ルート開放。
全員分をクリアすることで篝ルート開放。篝ルートクリア後、ミニゲームが開放。
(神戸小鳥・中津静流ルートは「正しい選択肢」を選ばないとクリアになりません。特に小鳥ルートは初見で引っかかる可能性大)
・メモリーは「Trophy」「Treasure」「Enemy」。
後ろ2つはミニゲームで使用されるので、そこまで開放されません。
・Trophyは全8つ。各シナリオクリア毎に1つ=全シナリオクリアで6つ。
ミニゲームクリアで1つ、ミニゲームのクリア後ダンジョンの隠しボスを倒すことで1つ。
・CGは各ルート(篝以外)が5つ(差分除く)。
篝ルートのみ6つ。
残り、ミニゲームをクリアすることで静止画1つ、ムービー1つが埋まる。
一部、前作のCGが登場しますが、こちらは鑑賞画面には登録されません。
・鑑賞できる音楽は新しい歌曲のみだが、前作の曲もたくさん使われている。
ボーカル歌のみ抽出すると、「偽らない君へ」「恋文」「渡りの詩」「Philosophyz」。あと一応吉野のあれも。
あと、前作ロビー画面で流れていた「旅」も2箇所で聞けます。
さて、総評を各シナリオごとに。
だいぶ感想とかぶっているので、簡略化してお伝え致します。
<神戸小鳥:「この良き日に」>
まず選択肢に引っかかって呆然としました。
正真正銘、前作の小鳥ルートのアフター。この2人のノリですから、終始真面目という訳ではなく(むしろふざけている場合が多い)、ギャグチックな部分は多分に混じっていますが、それを含んでこその2人。
なんというか、幸せになってくださいお願いします、って感じの話でした。
もう相性とか幼馴染とか使役者とかそういう次元を軽く越えて、人間同士が共鳴している、って感じる関係です。
あと前作から続いて、小鳥のガチ泣きシーンは色々と超越していると思います。声優然り。
<鳳ちはや:「遠くまで旅する人たちへ」>
彼女が何をしたというのだ。
勝手なイメージですが、前作では唯一「これ『Rewrite』か?」と首を傾げたくなる雰囲気で、今作も「えーと、ちょっとこれだけは別扱いでいい?」ってなりますが、前作テーマ「philosophyz」とか今作テーマ「Harvest」が一番似合うのって、鳳ちはや、あるいは彼女のルートだと思うんです。下手すると「Rewrite」さえも。
勝手なイメージですけどね。
さて話について。いやもうホントもうちょっと頑張って作って欲しかったです。公式サイトのあらすじって普通「こんな感じがプロローグで、こっから話が始まるよー」って感じではないでしょうか。誰があらすじで終わると予想するよ。
しかしプロローグとエピローグはものすごい切ないというか。ああいうシチュエーションはやっぱり来るものがあります。こういうのは続編とかファンディスクならではですよね。歳を取った主人公、っていうのは。
さすがにヒロイン(ちはや)はビジュアル的に出すべきではないと分かっているのか。
そして何も変わっていない咲夜は相変わらずです。
あとはまあ、一応、前作Moonルートの補完?
そこら辺を考えても、色々な意味で切ない話でした。
<此花ルチア:「ダブルチア」>
エロゲでやれ。
此花ルチアの物語というのは前作で1つの完結を迎えているので、今回のこれは「本編中に脇道を作ってみた」って感じです。……いや脇道を作った結果、前作のドシリアスをほとんどふっ飛ばしてしまったようですが。
さてまあなんというか。これは冗談抜きで「エロゲでやれ」の一言で終わらせてしまってもいいような気がします。
まあ、ルチアルートですしー。
あからさまな、なんかこう青少年が喜びそうなエロ担当ですしー。
ちなみに奥深いエロ担当は朱音さんということで。
……何を語ってるんだろ、私。
どうでもいいですが「偽らない君へ」はルチアの歌ということですかそうですか。
私は前作、ルチアルートより前に朱音ルートをクリアしているので、朱音さんの歌ってイメージが強いんですよね。
うぐぐ。
<中津静流:「Strange fantasia」>
色々な意味で完璧なルートでした。
なんか「なぜ静流の話をこの世界でやった」っていうのと、「なぜこの世界でこの話をやった」という感情が凌ぎ合って、結果「あるいはこれが正解だった? いや認めたくねえ……」っていうところに落ち着きます。
ギャグとシリアスを混ぜ込んだ物語は大好きですが、どっちもここまで両極端だと、もはや絶句しかできないようです。
ただ1つ不満点を上げるとすれば、静流と瑚太郎が戦闘するシーン。
これ、実は前作ではほとんど垣間見ることのできないシーンなんですよね。なんかのルートで対峙したことはあった気がしますが。
そして前作に比べシリアス度がぐっと減っているので、ここはもうちょっと、お祭りとばかりに尺を取ってほしかったなーって……。
「恋文」を入れたこととか、前作の“約束”を果たしたところとか、もう色々と感激する場面が多すぎます。
<
千里加島朱音:「イチャ×2クエスト」>
んー……。
朱音さんもルチア同様、前作で全部やるべきことが片付いている(強いていうならイチャラブしろというくらいか)ので、こういう形を取るしかなかったのでしょう。
しかし今回、ちはやルート含め、朱音さんがなんかやたらヘタレ娘になっているので、んー? って感じがしました。違和感というほどではないですが、あれなんかおかしいなぁ、って感じで。
まあそれを差し引いても、朱音さんが可愛いことには変わりありません――むしろ前より可愛くなったひゃっほう! と朱音スキーな私が大歓喜! って話だったのでまあいいや、って感じではあります。これもまた朱音さん。むしろヘタれているところが魅力的!
……駄目だ、私、朱音さんのことになると妄言を吐き始める癖がついてる……。
4枚目のCGの場面とかもう本当に最高でした。きゃー朱音さーん!
<未来来篝(篝):「あなたの記憶の物語」>
正味、ミニゲームがなくてもこれだけで6000円取っていいと私は思う。
感想でも書きましたが、全ては「渡りの詩」が流れるシーンに集約されます。あのタイミング、あの構図で「渡りの詩」を流し、そこからの演出、セリフ、感情吐露、全てが収まるべきところに収まり、輝いています。なんかシナリオライターの本気をぶつけられた、って感じです。
割とここまでおふざけ要素が強かっただけあって、あの場面が最高に輝いていました。
そして落ち着いた頃にやってくる「旅」。なにあの音楽チョイス。天才? いやむしろ容赦なき蹂躙? どこまで人の涙腺をぶっ壊せば気が済むの? ねえ? ……って感じです。
もう語るところはそこだけでいいです。篝の設定とか人間界うんたらかんたらとか色々ありますがもうなんか語るだけ野暮な気がします。
<ミニゲーム:「リライトクエスト」>
ぶっちゃけこれがメイン。
まあ長いこと長いこと。昔のRPG1本分くらいのボリュームはありました。難易度は低めでしたけど、第1層と第5層のボス、あとラスボスにはかなり苦戦しました。
メンバーとかは感想の欄を見ていただくとして、篝の性能がちょっぴりがっかりだったのが残念ですが、もうなんか篝がパーティーにいるってだけでテンション上がりました。というか、突き詰めれば篝は活躍できますから。
真に残念なのは朱音さん……しまこよ、あんたの罪は重い……第10層あたりから色々と思うところはありましたし、相変わらず「Philosophyz」やら「旅」やら音楽チョイスが抜群、反面モンスターはちょっとだけ不満(特に高砂)、と長短共にありますが、なんだかんだ言って楽しめたのは事実です。色々な意味で悪ふざけかもしれませんが、この作品は良い悪ふざけをやってくれます。
<総評>
全体的に不満なのは鳳ちはやルートと彼女の境遇だけで、概ね楽しめました。
6000円という数字だけ見れば少し高く思えますが、篝ルートとかリライトクエストのボリューム、前作でもやっとしていた部分の解決、さらなるキャラ掘り下げと、前作を好意的に感じている人には、最高のファンディスクとなったのではないでしょうか。
過去作を考えると、Keyの作風もだいぶ変わった気がしますが、それを受け容れたならば、普通に楽しめると思います。
前作はやはり賛否両論だったようですが、「分かりにくいところ」や「あまり良く思わなかったところ」も含めて、全部「Rewrite」だと思います。なんというか、全部が理解できたり、全部を受け入れてしまってはいけない作品のようにも思えました。
前作が第10作品目ということもあり、1つの節目ではないでしょうか。
今後も期待しますけども、しばらくは立ち止まりたいな、という気持ちもあります。
ちょうど「リトバス」がアニメ化するようですし、次作を出すのはずっと先、色々なものを忘れた頃に販売してほしいなと思います。